ー和風のホテル建築ー
古くから温泉地として知られる箱根。
江戸時代にはすでに名湯として知られ、箱根七湯と呼ばれる温泉地群が多くの旅人を惹きつけていた。
そんな歴史ある土地に誕生したのが、箱根を代表するクラシックホテル富士屋ホテルである。
開業は明治時代。
日本が近代化へと進む中で、外国人旅行者を迎える本格的なリゾートホテルとして誕生した。
豊かな自然環境と温泉という立地条件に恵まれ、このホテルは日本を代表する国際的リゾートへと発展していった。
富士屋ホテルの大きな特徴は、「ホテル建築」でありながら強い和風意匠を持つ点である。
西洋のホテルが主流となりつつあった時代において、この建物は日本的な建築美を積極的に取り入れている。
屋根は入母屋造
さらに屋根材には桟瓦が用いられ、堂々とした和風のシルエットを生み出している。
重層的に広がる屋根の構成は非常に迫力があり、一般的な旅館とは異なる「ホテルとしての威厳」も感じさせる。
富士屋ホテルは、単なる和風旅館とは異なる存在である。
外観や構造には日本建築の要素を取り入れつつ、内部には西洋式ホテルの機能が組み込まれている。
つまりここには、日本建築と西洋ホテル文化が共存する独特の空間が生まれている。
このような建築は、明治という時代の国際化を象徴する存在とも言える。
白雉和京(しらきじ わきょう)
建築学生/建築学科2回生