東京都葛飾区東金町に建つ「東江幼稚園」。
幼稚園建築は、住宅以上に難易度が高いと言えます。
• 目線を子どもに合わせる必要がある
• 安全性を最優先し、怪我を防ぐことが必須
• 一方で意匠性を失わず、遊び心や学びの刺激を与えなければならない
この建築は、そうした問いに屋根・階段・天井・構造で答えを出しています。
建築概要
•所在…東京都葛飾区東金町
•設計…村山建築設計事務所
•竣工年…1995年
•構造…木造一部鉄筋コンクリート造二階建て
•掲載雑誌・号数…住宅建築 253号 特集 住み継ぐ記録 住まい改修の方法-16題、1996-5
面積
•敷地面積…902.08㎡
•建築面積…391.32㎡
•延床面積…498.32㎡
•地域地区…第二種住居専用地域、準防火地域第二種高度地区
土地の特性を読む
敷地は住宅街に近接した約900㎡の広さ。
建物の配置は、1階に子どもたちの居室を置くことで、すぐに遊べる安心感を確保。
保護者が迎えに来ても安心できる視線計画がされており、住宅建築で培った「人の動線と心理的安心感」が応用されています。
平面図から読み解く
特に印象的なのは、保育室に設けられた吹き抜け空間。
• 天井の高低差や光の落とし方が、子どもたちに遊び心と刺激を提供
• 大人の目線では想像しにくい高さでの活動が可能になっており、子ども目線での世界が成立
• 平面図では分かりにくいが、空間の連続性と天井の表情がこの建築の核心
吹き抜けの設計により、空間体験と学習意欲の向上が両立されています。
断面図から読み解く
断面図を見ると、屋根を支える部材が非常に複雑であることに気づきます。
• 構造体が遊戯室を支えるだけでなく、意匠性としても機能
• 木材の使い方が自由で、遊び心を持たせつつ安全を確保
• 構造を見せることで、空間のリズムと時間の流れを視覚的に表現
建築写真を見ると、木の表情や光の入り方が生き生きと伝わり、思わず子どもに戻ったような感覚になります。
この建築の核心
子ども目線を徹底して尊重しつつ、安全性と美意識の両立を達成しました。
• 構造を見せることで教育的要素や創造性を刺激
• 屋根や天井の複雑さが、遊び空間としての魅力を増幅
• 平面・断面・素材の三位一体で、幼稚園建築としての完成度を高めた
子どもたちが安全に学び、遊び、感じることができる空間。それが東江幼稚園の建築的成功です。
木の温もり、空間の開放感、吹き抜けの光と構造美
この建築を訪れるだけで、時間の感覚が柔らかく変わる、子ども目線の魔法が宿った作品と言える。
白雉和京(しらきじ わきょう)
建築学生/建築学科2回生