ー魅せる遊び心ー

大正13年。

一人の政治家の理想と願望を内包した邸宅が誕生した。

それが、政治家 鳩山一郎の私邸である。

設計を担ったのは、様式建築の名匠

岡田信一郎

両者は学生時代からの親友

施主と設計者という関係を超えた信頼が、この建築の随所に息づいている。

構造はRC造3階建て。

外壁には煉瓦や石が用いられ、重厚で威厳ある佇まいを見せる。

しかしこの建築の本質は、単なる格式ではない。

キーワードは――「」。

鳩山の名に宿る象徴を、建築そのものの主題として昇華している点に、

この邸宅の“遊び心”がある。

私も自邸を設計する際には「雉」を象ってみたい。

館内のステンドグラスには、

さまざまな情景の中に鳩が描かれている。

平和の象徴としての鳩

家名を示す印としての鳩

そして玄関上、二階壁面には、

いまにも羽ばたこうとする鳩の彫刻が据えられている。

これは単なる装飾ではないだろう。

政治家として、より高みへ。

より大きな舞台へ。

その飛翔への意志が、静かに石に刻まれている。

建築は願望の具現化である。

鳩山会館は、まさに“志の可視化”なのだ。

建築には思想が宿る」という言葉がある。

この邸宅には、政策を練るための部屋、政治家同士が語り合うための部屋、公と私が交差する空間が存在する。

生活空間でありながら、そこは同時に政治の現場でもあった。

この二重性こそが興味深い。

住まいであり、舞台であり、思想が醸成される器でもある。

現代において、政治家の生活や思索の場をここまで体験できる建築は決して多くない。

鳩山会館(旧鳩山一郎邸)は、建築を通して“政治家という存在”を立体的に理解させてくれる稀有な例だ。

白雉和京(しらきじ わきょう)

建築学生/建築学科2回生

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