土壁による圧倒的美

長野県南佐久郡南牧村、野辺山高原の雑木林にひっそりと佇む「こなし山荘」。

一見すると別荘のような佇まいですが、図面や記録からは確証がなく、建築そのものの魔性を強く感じさせます。

住宅としての機能と、自然との対話を巧みに織り込んだ、独特な住宅空間です

建築概要

• 所在…長野県南佐久郡南牧村

• 家族構成…2世帯6人家族

• 設計…アトリエへん

• 竣工年…1992年

• 構造…木造地下一階含む三階建て

• 掲載雑誌・号数…住宅建築 253号  特集 住み継ぐ記録 住まい改修の方法-16題、1996-5

面積

• 敷地面積…1,458㎡

• 建築面積…71㎡

• 延床面積…129.80㎡

• 地域地区…都市計画区域外、無指定

土地の特性を読む

雑木林に囲まれた高原地帯。

建物の配置やテラスの方向から、建築家は自然の景色を室内に取り込むことを強く意図していることが分かります。

北と東に広がるテラスは、単なる外部空間ではなく、木々や空を見渡すための視線誘導

車道や人工物が視界に入らないことで、利用者は自然だけに集中でき、時間の流れが緩やかになる空間体験が生まれています。

平面図から読み解く

平面計画は一見ごく普通の二世帯住宅のように見えますが、詳細を見ると各空間の意匠と動線に特有の工夫があります。

• 食と居住、寝室は方角によって明確に分けられ、生活のリズムと自然光の流れが計算されている

• 北側と東側に広がるテラスは、外部景色と室内を繋ぐ重要な装置

• 各居室は自然の視線に開かれており、自然の息遣いを感じながら生活することを可能にしている

住宅としての合理性と別荘的なゆとりが共存し、日常の生活と非日常の時間を緩やかに織り込んでいます。

この建築の核心

• 空間は日常の生活と自然の風景をゆっくりつなぐ

• テラスや土壁の設置により、人工物よりも自然との対話を優先

• 二世帯住宅でありながら、建築的な体験の質が非常に高く、生活と建築の密度が濃い住宅となっている

「こなし山荘」は、生活のための箱であると同時に、自然と共に時を過ごすための舞台。

住宅が単なる居住の場所ではなく、感覚・記憶・時間の重なりを生む建築であることを体現している名建築です。

白雉和京(しらきじ わきょう)

建築学生/建築学科2回生

https://www.instagram.com/sirakiji_wakyo_designs